音響パワー分配は重要!誤るとメイン、モニター、ステージモニターが「不協和音」を起こす!
大型ホールでは、スピーカーシステムの指向性を高めるため、観客がスピーカーを「見える」状態にし、視覚と聴覚の方向性を基本的に一致させることが望ましい。聴覚的には水平方向感度が鋭敏で、垂直方向感度は比較的鈍いためである。
メインスピーカーシステムに適切なディレイを挿入し、ハース効果を利用して音像を下方に移動させ、スピーカー再生システムと音源の方向性をより一致させれば、リスニング効果はさらに向上する。
メインスピーカーシステム以外の補助スピーカーシステムには様々なタイプがある。例えば、廊下やラウンジには背景音楽用に天井埋め込みスピーカー、小型VIP会議室にはコンポスピーカーや小型サウンドコラムなど。
この場合、選択したスピーカーの電力、インピーダンス(または電圧)、数量に応じて適切にグループ分けし、必要な並列・直列処理を行った後、パワー分配盤に接続する。総合的なパワー分配状況に基づき、パワーアンプと切り替え可能な接続回路を設計し、予備増幅システムを選択する。これにより、音響制御室内での制御・操作が容易になる。さらに、モニターシステムとステージモニターシステムの電力も決定する必要がある。
2. ステージモニターシステムと必要電力
ステージモニターシステムは、舞台上のパフォーマーやバンドのリスニング問題を解決するために特別に構築された音響システムである。演奏時、パフォーマーとバンドはメイン音場スピーカーの背後に位置するため、自身の発音効果を明確に聴き取れなければパフォーマンス感覚を掴めない。したがって、劇場やライブハウスの音響システムでは、メイン音場システムに加え、ステージモニターシステムも必須である。
さらに、メイン音場システムが故障した場合、ステージモニターシステムは緊急音響システムとして機能し、冷場(音響中断)を回避できる。一般的なケースでは、ステージモニターシステム電力はメイン音場電力の20%を選択する。例えば、メイン音場電力が2000Wの場合、ステージモニターシステム電力は400Wが適切。
ステージモニターシステムでは、モニター音量を適切にし、効果を明瞭にするため、モニターアンプの電力はモニタースピーカー電力の約1.3倍以上が望ましい。実際の使用時には、現場でモニターアンプ出力を調整する必要がある。ステージモニターシステム電力が不足すると存在意義を失い、過剰だと主役を奪う喧噪を生み、ハウリング(音響フィードバック)を引き起こしやすい。したがって、ステージモニターシステムの音量と効果調整には特に注意が必要。
3. 制御室モニターシステムと必要電力
制御室モニターシステムは、制御室内の音響オペレーターのリスニング問題を解決するために特別に構築された音響システムである。演奏時、メインスピーカーは制御室と遮音されたメイン音場に位置するため、音響オペレーターはメインスピーカーの発音効果や自身のミキシング状態を直接聴き取れず、作業が不可能となる。
したがって、制御室にはメイン音場音響と同期するモニターシステムを設置し、音響オペレーターがメイン音場の音響効果を把握し、リアルタイムでミキシングできるようにする必要がある。よって、あらゆるホールの音響システムにおいて、制御室モニターシステムも必須である。
一般的なケースでは、制御室モニターシステム電力はメイン音場電力の10%で十分。例えば、メイン音場電力が2000Wの場合、モニターシステム電力は200Wを選択可能。モニターシステムでは、歪みのない音響効果をモニターするため、モニターアンプ電力はモニタースピーカー電力と同等でよい。
実際の使用時には、モニターアンプ出力を現場で調整する必要がある。モニターシステム電力が不足すると存在意義を失い、過剰だと制御室が過度に騒がしく、音響オペレーターの作業に支障をきたす。したがって、プログラム開始前にモニターシステムを適切な音量に調整すべき。
サブウーファーの総電力はメインスピーカー総電力の0.5~1.5倍を選択可能。ディスコ舞踏場では上限値、多目的ホールでは下限値を採用。言語拡声のみの場合はサブウーファー不要。
その他サラウンドスピーカー、リアスピーカー、リターンスピーカー等の電力は、メインスピーカーの1/10~1/2が目安(AC-3システムの場合、サラウンドスピーカーはメインスピーカーと同等が要求)。
4. システムの選定
拡声音響システムにおいて、音響品質の優劣はシステム機器の各段階の良好な動作状態に完全に依存する。機器性能の優劣は、システム全体が高品質かつ安定して動作できるかどうかを測る重要な指標である。したがって、音響システムの選定は、音場音質設計や拡声システム設計と同様に極めて重要。
専門音響システムの拡声形式には、モノラル拡声、ステレオ拡声、サラウンドステレオ拡声などがある。拡声形式を決定して初めて、音響システムの機器選定が可能。
モノラル拡声
モノラル拡声は現在、国内ホール拡声の主要形式。システム構造が簡素、投資少、調整容易などの利点あり。
拡声システムの使用状況により、ステレオ拡声機能を全く考慮する必要がない場合もある。この場合、周辺機器(ルームイコライザー、コンプレッサー、ディレイなど)を半分に削減でき、コスト低減に寄与。この設計は、主に言語拡声を行う会議場や講堂において、経済的かつ実用的なソリューションである。
ステレオ拡声形式
ステレオ拡声形式は、モノラル形式より音像の統一性、明瞭度、階調性に優れる。実際の電声音響システムでは、70mmシネマではステレオ再生システムが多用され、音像と映像の高度な統一、迫力ある立体感と空間感を創出。
しかし、国内の劇場・講堂の多くでは現在も少数がステレオ方式を採用。ステレオ拡声を採用する劇場・講堂では、全ての座席で完璧なステレオ効果が得られるとは限らない。多くの場合、特定座席の音響効果はモノラル時より劣ることが少なくない。
この現象の原因は、2チャンネルステレオ方式の有効聴取エリアが広くないため。ステレオ拡声を採用するホールでは、聴衆全員が立体効果を享受できるよう保証するため、座席数を大幅に削減せざるを得ず、ホール設計、スピーカー配置、音響操作がより困難となる。
元々ステレオ拡声を想定していないホールでステレオ形式を採用すると、効果は逆効果。結果として、一部の観客(聴衆)は完璧なステレオ効果を享受するが、大多数は立体音響の優位性を全く感じられない。
音響機器の観点では、現代の電声機器は一般的に基本的なステレオ機能を備える。電声システムの中核機器であるミキシングコンソールは、基本的ステレオ機能(「パノラマ」ポテンショメータ、左右チャンネル出力)を備えるため、他の機器(パワーアンプ、スピーカー)も左右構成でステレオ拡声可能。
旧式ホールの設計はステレオ拡声要求を満たしにくく、一般的な解決策はミキサーの「パノラマ」を中央位置に設定し、ステレオ機器をモノラル機器として使用すること。
つまり、現在の電拡声音響システム設計では、以下の形式が多用される:機器面でステレオ拡声の基本機能を保証しつつ、ホール環境構造や座席配置の実情を考慮し、広範囲の音響効果を保証するため通常はモノラル拡声のみ行う。多くのライブハウスや多目的ホールの電声システムも同様。
多くのライブハウスや多目的ホールも上記方式を採用:機器構成でステレオ機能を保持しつつ、実際の使用ではモノラル拡声のみ行う。ライブハウス、多目的ホールの設計要求に統一基準はなく、採用する拡声形式も柔軟であるべき。
例えば、ステレオとモノラルを組み合わせた形式:ホール内のVIP席、ダンスフロア等ではステレオ拡声、その他エリアではモノラル拡声。総則は:全ての聴取領域で完全なプログラム情報が聴取可能であること。スピーカー過多や配置不規則による音波の相互干渉を避けること。
サラウンドステレオ
通常の2チャンネルステレオにサラウンド感と空間感を強化した、高度な拡声形式。現在、国内の新設映画館や劇場に導入中。
5. 機器の選定
スピーカー
スピーカーは音響システム全体の要。従って最優先で考慮すべき要素。スピーカー選定は感度と定格電力から着手し、各音源の電力を決定。スピーカーの指向性でホール音場を分析・制御し、各スピーカー位置、入力インピーダンス、入力電力を決定。スピーカーとパワーアンプ間の整合電力も算出。
パワーアンプ
拡声システム全体の音質を保証するため、パワーアンプには十分な電力余裕と長期安定動作が要求。同時に、選定したアンプは効率向上、歪み低減、短絡・無負荷保護、温度上昇抑制など、完全な技術的対策を備える必要あり。
ミキシングコンソールとその他機器
ミキシングコンソールは音響システム全体の中枢。良好な電気的特性、安定した動作状態、平坦な周波数特性、極小の高調波歪みが必須。ミキシングコンソールの機能面では差異が大きく、システム全体の機能要求に応じて入力チャンネル数や出力グループ数が異なるコンソールを選択。
さらに、各ホールの音響要求に応じ、適切なイコライザー、ディレイ、リバーブ、コンプレッサー/リミッター、ピッチシフター等を選択し、正常・安定・信頼性の高い拡声音響システムを構成。
プログラムソース機器
プログラムソース部分には、FM/AM放送の受信・中継、レコード(CD含む)・テープ再生機器等を含む。プログラムソース部分は入力レベルが低いため、全ての部品・機器は高感度、高S/N比、低歪、高信頼性が必須。
マイクの選定
マイクは拡声システムの第一段階「入力口」。自然音源信号がマイクによる音→電変換後の出力電圧は、ミキサーとパワーアンプの2段階信号処理・増幅を経てスピーカーシステムに供給され、増幅度は数万倍に達する。
マイク性能の優劣はシステム品質に直接影響。マイク自体の特性はシステムのピックアップと再生効果に直接影響。マイク設置位置の正確さはシステムの伝送利得に直接影響。マイク信号の接続はシステムのS/N比に直接影響。マイクの適切な使用は、音響システム全体を良好な動作状態に保つ鍵である。
マイク選定は、設置音響環境、ピックアップ対象に適合する必要あり。拡声システム全体の要求、適用場面、ピックアップ音源、マイク自体の技術特性、ホール特性を総合的に勘案して選択。
6. 配線設計
固定設置音響システムでは、舞台上のマイクや電声楽器信号をケーブルで音響制御室へ送信、パワーアンプ出力をケーブルでスピーカーシステムへ送信する必要があり、これらケーブルは全て配管施工。
鉄管施工
ここで説明するのは、制御室外のマイク入力線とスピーカー出力線の配管施工問題。音響工事で使用する信号線は金属シールド線だが、固定設備設置では暗管・明管を問わず、鉄管施工が最善。
鉄管配線の利点:
① ケーブルが鉄管で保護され、損傷防止。
② 空間電磁界干渉を防止、優れたシールド効果。
③ 事前に配管工事が可能で、最終的にケーブルを通線でき、交換も容易。新築・改築ホールでは、信号の歪みのない伝送を保証するため、配線設計も極めて重要。
配線設計要点
伝送中の誘導ノイズを低減するため、マイク入力線は二芯シールド線を使用し、金属管を通線。特に長距離伝送の場合、電力ケーブルから離れ、平行配線を避けることが重要。
同時に、管継手と分電ボックスの接続も適切に処理。マイク使用位置は常に変化するため、設計時に複数の接続ボックスを準備し、各ボックスに一定数のキャノンソケットを装着。適切な位置(例:舞台両側壁内、前側、バンド位置床下、体育館のメインスタンド・審判台下部等)に全ての接続ボックスを埋設し、使用を容易にする。
スピーカー接続線は、出力電力とアンプ・スピーカーのダンピング整合を保証するため、十分な太さの導線を選び配管施工。メインスピーカーシステムでは、信頼性確保のためリングジャンパー方式でグループ接続可能。これにより、グループ内のいずれかで断線しても、メインシステム全体が正常動作。 音響制御室位置、マイクソケットボックス位置、スピーカーシステム配置位置が決定後、建物構造に基づき強電干渉を避け、経済的かつ合理的な拡声音響システム配線設計を行い、施工平面図を作成。
7. 配線施工技術
配線施工では以下に注意:
(1)照明線と音声線は別々の管で施工し、一定距離を保つ。平行施工時は間隔1m以上。直角交差時も0.5m以上の間隔。可能な限り平行配線を避ける。
(2)3本以上のケーブルを1本の管に通す場合、総導体断面積は鉄管内断面積の40%以下。2本のケーブルを同一鉄管に通す場合、鉄管内断面積はケーブル断面積の1.2倍以上。
(3)通線容易化のため、直管施工時は長さ50m以内。1~2箇所屈曲時は30m以内。3~4箇所屈曲時は15m以内。これらを超える場合、中間に接続ボックスを設置し区間ごとの通線を容易化。
(4)鉄管施工には必ず接地。さもなければ干渉を誘発。全ての鉄管・接続ボックスを一体接続し接地することが極めて重要。
メインスピーカーシステムに適切なディレイを挿入し、ハース効果を利用して音像を下方に移動させ、スピーカー再生システムと音源の方向性をより一致させれば、リスニング効果はさらに向上する。
メインスピーカーシステム以外の補助スピーカーシステムには様々なタイプがある。例えば、廊下やラウンジには背景音楽用に天井埋め込みスピーカー、小型VIP会議室にはコンポスピーカーや小型サウンドコラムなど。
この場合、選択したスピーカーの電力、インピーダンス(または電圧)、数量に応じて適切にグループ分けし、必要な並列・直列処理を行った後、パワー分配盤に接続する。総合的なパワー分配状況に基づき、パワーアンプと切り替え可能な接続回路を設計し、予備増幅システムを選択する。これにより、音響制御室内での制御・操作が容易になる。さらに、モニターシステムとステージモニターシステムの電力も決定する必要がある。
2. ステージモニターシステムと必要電力
ステージモニターシステムは、舞台上のパフォーマーやバンドのリスニング問題を解決するために特別に構築された音響システムである。演奏時、パフォーマーとバンドはメイン音場スピーカーの背後に位置するため、自身の発音効果を明確に聴き取れなければパフォーマンス感覚を掴めない。したがって、劇場やライブハウスの音響システムでは、メイン音場システムに加え、ステージモニターシステムも必須である。
さらに、メイン音場システムが故障した場合、ステージモニターシステムは緊急音響システムとして機能し、冷場(音響中断)を回避できる。一般的なケースでは、ステージモニターシステム電力はメイン音場電力の20%を選択する。例えば、メイン音場電力が2000Wの場合、ステージモニターシステム電力は400Wが適切。
ステージモニターシステムでは、モニター音量を適切にし、効果を明瞭にするため、モニターアンプの電力はモニタースピーカー電力の約1.3倍以上が望ましい。実際の使用時には、現場でモニターアンプ出力を調整する必要がある。ステージモニターシステム電力が不足すると存在意義を失い、過剰だと主役を奪う喧噪を生み、ハウリング(音響フィードバック)を引き起こしやすい。したがって、ステージモニターシステムの音量と効果調整には特に注意が必要。
3. 制御室モニターシステムと必要電力
制御室モニターシステムは、制御室内の音響オペレーターのリスニング問題を解決するために特別に構築された音響システムである。演奏時、メインスピーカーは制御室と遮音されたメイン音場に位置するため、音響オペレーターはメインスピーカーの発音効果や自身のミキシング状態を直接聴き取れず、作業が不可能となる。
したがって、制御室にはメイン音場音響と同期するモニターシステムを設置し、音響オペレーターがメイン音場の音響効果を把握し、リアルタイムでミキシングできるようにする必要がある。よって、あらゆるホールの音響システムにおいて、制御室モニターシステムも必須である。
一般的なケースでは、制御室モニターシステム電力はメイン音場電力の10%で十分。例えば、メイン音場電力が2000Wの場合、モニターシステム電力は200Wを選択可能。モニターシステムでは、歪みのない音響効果をモニターするため、モニターアンプ電力はモニタースピーカー電力と同等でよい。
実際の使用時には、モニターアンプ出力を現場で調整する必要がある。モニターシステム電力が不足すると存在意義を失い、過剰だと制御室が過度に騒がしく、音響オペレーターの作業に支障をきたす。したがって、プログラム開始前にモニターシステムを適切な音量に調整すべき。
サブウーファーの総電力はメインスピーカー総電力の0.5~1.5倍を選択可能。ディスコ舞踏場では上限値、多目的ホールでは下限値を採用。言語拡声のみの場合はサブウーファー不要。
その他サラウンドスピーカー、リアスピーカー、リターンスピーカー等の電力は、メインスピーカーの1/10~1/2が目安(AC-3システムの場合、サラウンドスピーカーはメインスピーカーと同等が要求)。
4. システムの選定
拡声音響システムにおいて、音響品質の優劣はシステム機器の各段階の良好な動作状態に完全に依存する。機器性能の優劣は、システム全体が高品質かつ安定して動作できるかどうかを測る重要な指標である。したがって、音響システムの選定は、音場音質設計や拡声システム設計と同様に極めて重要。
専門音響システムの拡声形式には、モノラル拡声、ステレオ拡声、サラウンドステレオ拡声などがある。拡声形式を決定して初めて、音響システムの機器選定が可能。
モノラル拡声
モノラル拡声は現在、国内ホール拡声の主要形式。システム構造が簡素、投資少、調整容易などの利点あり。
拡声システムの使用状況により、ステレオ拡声機能を全く考慮する必要がない場合もある。この場合、周辺機器(ルームイコライザー、コンプレッサー、ディレイなど)を半分に削減でき、コスト低減に寄与。この設計は、主に言語拡声を行う会議場や講堂において、経済的かつ実用的なソリューションである。
ステレオ拡声形式
ステレオ拡声形式は、モノラル形式より音像の統一性、明瞭度、階調性に優れる。実際の電声音響システムでは、70mmシネマではステレオ再生システムが多用され、音像と映像の高度な統一、迫力ある立体感と空間感を創出。
しかし、国内の劇場・講堂の多くでは現在も少数がステレオ方式を採用。ステレオ拡声を採用する劇場・講堂では、全ての座席で完璧なステレオ効果が得られるとは限らない。多くの場合、特定座席の音響効果はモノラル時より劣ることが少なくない。
この現象の原因は、2チャンネルステレオ方式の有効聴取エリアが広くないため。ステレオ拡声を採用するホールでは、聴衆全員が立体効果を享受できるよう保証するため、座席数を大幅に削減せざるを得ず、ホール設計、スピーカー配置、音響操作がより困難となる。
元々ステレオ拡声を想定していないホールでステレオ形式を採用すると、効果は逆効果。結果として、一部の観客(聴衆)は完璧なステレオ効果を享受するが、大多数は立体音響の優位性を全く感じられない。
音響機器の観点では、現代の電声機器は一般的に基本的なステレオ機能を備える。電声システムの中核機器であるミキシングコンソールは、基本的ステレオ機能(「パノラマ」ポテンショメータ、左右チャンネル出力)を備えるため、他の機器(パワーアンプ、スピーカー)も左右構成でステレオ拡声可能。
旧式ホールの設計はステレオ拡声要求を満たしにくく、一般的な解決策はミキサーの「パノラマ」を中央位置に設定し、ステレオ機器をモノラル機器として使用すること。
つまり、現在の電拡声音響システム設計では、以下の形式が多用される:機器面でステレオ拡声の基本機能を保証しつつ、ホール環境構造や座席配置の実情を考慮し、広範囲の音響効果を保証するため通常はモノラル拡声のみ行う。多くのライブハウスや多目的ホールの電声システムも同様。
多くのライブハウスや多目的ホールも上記方式を採用:機器構成でステレオ機能を保持しつつ、実際の使用ではモノラル拡声のみ行う。ライブハウス、多目的ホールの設計要求に統一基準はなく、採用する拡声形式も柔軟であるべき。
例えば、ステレオとモノラルを組み合わせた形式:ホール内のVIP席、ダンスフロア等ではステレオ拡声、その他エリアではモノラル拡声。総則は:全ての聴取領域で完全なプログラム情報が聴取可能であること。スピーカー過多や配置不規則による音波の相互干渉を避けること。
サラウンドステレオ
通常の2チャンネルステレオにサラウンド感と空間感を強化した、高度な拡声形式。現在、国内の新設映画館や劇場に導入中。
5. 機器の選定
スピーカー
スピーカーは音響システム全体の要。従って最優先で考慮すべき要素。スピーカー選定は感度と定格電力から着手し、各音源の電力を決定。スピーカーの指向性でホール音場を分析・制御し、各スピーカー位置、入力インピーダンス、入力電力を決定。スピーカーとパワーアンプ間の整合電力も算出。
パワーアンプ
拡声システム全体の音質を保証するため、パワーアンプには十分な電力余裕と長期安定動作が要求。同時に、選定したアンプは効率向上、歪み低減、短絡・無負荷保護、温度上昇抑制など、完全な技術的対策を備える必要あり。
ミキシングコンソールとその他機器
ミキシングコンソールは音響システム全体の中枢。良好な電気的特性、安定した動作状態、平坦な周波数特性、極小の高調波歪みが必須。ミキシングコンソールの機能面では差異が大きく、システム全体の機能要求に応じて入力チャンネル数や出力グループ数が異なるコンソールを選択。
さらに、各ホールの音響要求に応じ、適切なイコライザー、ディレイ、リバーブ、コンプレッサー/リミッター、ピッチシフター等を選択し、正常・安定・信頼性の高い拡声音響システムを構成。
プログラムソース機器
プログラムソース部分には、FM/AM放送の受信・中継、レコード(CD含む)・テープ再生機器等を含む。プログラムソース部分は入力レベルが低いため、全ての部品・機器は高感度、高S/N比、低歪、高信頼性が必須。
マイクの選定
マイクは拡声システムの第一段階「入力口」。自然音源信号がマイクによる音→電変換後の出力電圧は、ミキサーとパワーアンプの2段階信号処理・増幅を経てスピーカーシステムに供給され、増幅度は数万倍に達する。
マイク性能の優劣はシステム品質に直接影響。マイク自体の特性はシステムのピックアップと再生効果に直接影響。マイク設置位置の正確さはシステムの伝送利得に直接影響。マイク信号の接続はシステムのS/N比に直接影響。マイクの適切な使用は、音響システム全体を良好な動作状態に保つ鍵である。
マイク選定は、設置音響環境、ピックアップ対象に適合する必要あり。拡声システム全体の要求、適用場面、ピックアップ音源、マイク自体の技術特性、ホール特性を総合的に勘案して選択。
6. 配線設計
固定設置音響システムでは、舞台上のマイクや電声楽器信号をケーブルで音響制御室へ送信、パワーアンプ出力をケーブルでスピーカーシステムへ送信する必要があり、これらケーブルは全て配管施工。
鉄管施工
ここで説明するのは、制御室外のマイク入力線とスピーカー出力線の配管施工問題。音響工事で使用する信号線は金属シールド線だが、固定設備設置では暗管・明管を問わず、鉄管施工が最善。
鉄管配線の利点:
① ケーブルが鉄管で保護され、損傷防止。
② 空間電磁界干渉を防止、優れたシールド効果。
③ 事前に配管工事が可能で、最終的にケーブルを通線でき、交換も容易。新築・改築ホールでは、信号の歪みのない伝送を保証するため、配線設計も極めて重要。
配線設計要点
伝送中の誘導ノイズを低減するため、マイク入力線は二芯シールド線を使用し、金属管を通線。特に長距離伝送の場合、電力ケーブルから離れ、平行配線を避けることが重要。
同時に、管継手と分電ボックスの接続も適切に処理。マイク使用位置は常に変化するため、設計時に複数の接続ボックスを準備し、各ボックスに一定数のキャノンソケットを装着。適切な位置(例:舞台両側壁内、前側、バンド位置床下、体育館のメインスタンド・審判台下部等)に全ての接続ボックスを埋設し、使用を容易にする。
スピーカー接続線は、出力電力とアンプ・スピーカーのダンピング整合を保証するため、十分な太さの導線を選び配管施工。メインスピーカーシステムでは、信頼性確保のためリングジャンパー方式でグループ接続可能。これにより、グループ内のいずれかで断線しても、メインシステム全体が正常動作。 音響制御室位置、マイクソケットボックス位置、スピーカーシステム配置位置が決定後、建物構造に基づき強電干渉を避け、経済的かつ合理的な拡声音響システム配線設計を行い、施工平面図を作成。
7. 配線施工技術
配線施工では以下に注意:
(1)照明線と音声線は別々の管で施工し、一定距離を保つ。平行施工時は間隔1m以上。直角交差時も0.5m以上の間隔。可能な限り平行配線を避ける。
(2)3本以上のケーブルを1本の管に通す場合、総導体断面積は鉄管内断面積の40%以下。2本のケーブルを同一鉄管に通す場合、鉄管内断面積はケーブル断面積の1.2倍以上。
(3)通線容易化のため、直管施工時は長さ50m以内。1~2箇所屈曲時は30m以内。3~4箇所屈曲時は15m以内。これらを超える場合、中間に接続ボックスを設置し区間ごとの通線を容易化。
(4)鉄管施工には必ず接地。さもなければ干渉を誘発。全ての鉄管・接続ボックスを一体接続し接地することが極めて重要。