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音楽の細部を聴き取るには音量を上げる必要があるのか?

2025-05-29
  同じ楽曲を同じ機器で再生する場合、音量を大きくすることで確かにより多くの細部を再現できます。
  録音の品質、再生システムの能力は音楽の細部の再現に影響します。しかし、同じ機器において、音量が大きいほど細部の再現能力が高まるのでしょうか? これは機器の再生能力だけでなく、人間の聴覚の受容能力にも関わる問題です。
  以下の通り説明します:
  人間の音知覚に関する能力について、歴史的に重要な実験があります。この実験結果は「等ラウドネス曲線(Equal-loudness Contour)」として知られています。1933年、ベル研究所のHarvey FletcherとW.A Munsonの2人の研究員がこの種の実験を開始し、その後他の研究者によって繰り返され確認されました。2003年、国際標準化機構(ISO)は歴史的な様々な実験結果を統合し、ISO 226:2003規格を発表しました。
  下図がISO 226:2003等ラウドネス曲線の標準図です。
  図1 左縦軸は音圧レベル(SPL)、横軸は周波数です。図中の赤線はホーン値(Phon値)曲線(ホーンはラウドネスの単位)で、各赤線の上部に記載された数字がその曲線のホーン値です。図2は図1の縦軸を反転させたものです。
  図1が示すように、人間の耳にとって、1kHzの音は20dBSPLの音圧レベルで20ホーンのラウドネスに達します。一方、100Hzの音が同じラウドネスを得るには、音圧レベルが50dBSPLに達する必要があります[3]。
  2つの図から以下の結論が導き出せます:
  人間は中域周波数信号に対して最も感度が高い。異なる音圧レベルでも、中域信号は一般に良く知覚されます。
  人間の低域および高域周波数信号に対する知覚は、音圧レベルの影響を大きく受けます。
  ラウドネスが大きいほど、信号周波数の知覚は平坦(フラット)に近づきます。つまり、ラウドネスが大きいほど、耳は低域および高域信号をより容易に知覚します。
  音楽において、低域は力強さを、高域は明るさ、クリアさ、空気感などに関連付けられます。したがって、ラウドネスが大きくなれば、音楽が表現する細部は当然豊かになります。
  以上のことから、同じ音源と再生機器において、音量を上げることは確かに人間により多くの音の細部を感じさせることになります。